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共同通信社大熊記者来パ

共同通信取材風景1

2002年8月5日(月)17:00〜19:00に、ジャパン・プログラム(1999年に日本政府と米州開発銀行(IDB,BID)が協力してIDB内に設立された中南米・カリブ諸国とアジアの両地域が開発関係の知識や経験を共有するプログラム)に従い、日本から共同通信社大熊慶洋記者が来パされ、パラグアイ日本人会連合会において日系社会の現状と課題について取材が行われました。以下は取材内容の概略です。(文中敬称略)


出席者(団体名のあいうえお順)

アスンシオン日本人会 会長 佐藤隆一
セントロ・日系 会長 奈良 マルティン
日系農業協同組合中央会 会長 田岡 功
パラグアイ・日本商工会議所 会頭 豊歳 直之
パラグアイ日本人会連合会 会長 小田 俊春
パラグアイ日本人会連合会 事務局長 合田 義雄


 ●日系社会の現状〜出稼ぎ問題について〜

大熊:まず日系社会の現状から、教えていただけますか。
合田:パラグアイに住む日系人は全体で約8,000人と言われていますが、登録されているのは約4,000〜5,000人です。なお、パラグアイ日本人会連合会に登録されている会員数は、約1,200世帯です。その約半分が農業に従事しています。
大熊:農業では、どういったものを生産されているのですか。
田岡:量から言うと、大豆が一番です。そしてその裏作で小麦の栽培をしています。アスンシオン近郊では蔬菜、ラ・コルメナでは果樹栽培もさかんです。
大熊:最近の目立った傾向などはどうですか。
佐藤:最近の傾向は、出稼ぎで日本に出て行ってしまう人が多いことですね。
豊歳:農業は土地の面積に左右されます。大豆は大規模であるので、次男・三男以下は独立せざるを得ない。現在のパラグアイの経済は有史以来悪い状態なので、これらの人は仕事を探すのもたいへんで、日本に出稼ぎに出ることになるのです。
 パラグアイは世代の進んでいるブラジル、ペルーと違い、出稼ぎに行くのも二世ぐらいの世代です。ですから日本語も問題ない上に習慣上の問題もあまり起きないので日本でも重宝がられているようです。昔は日本からパラグアイに移住したのですが、現在は逆流傾向にあるといえます。
奈良:若い人は「日本であればいくらもらえる」と比較してしまうので、帰ってきてもなかなかこちらに定着できなくなってしまいます。また、子供の教育、治安を考えると日本に住むことを選ぶ人も多いですね。
大熊:出稼ぎが増加したのはいつぐらいでしょうか。
豊歳:日本の所謂バブル、90年ぐらいからです。当初は間に入った人材会社との間で給料のピンはね、雇用条件の違いなどの問題も多く、私も何度か闘ったものです。現在はもう直接日本とやり取りして人材会社を通すこともなくなったので、そういった問題は減っていますが、基本的に私は出稼ぎには反対です。出稼ぎはパラグアイの将来を支える人材を偏った方法で利用し、日系人を中途半端な人間にしてしまうおそれがあります。彼らの長い人生を考えると、問題は多いと思います。
田岡:移住地では看板を立てたり、空港で日本語のビラを配ったりした。これには私も抗議をしたことがあります。
佐藤:現在はメキシコにある日本企業の部品メーカーからも、募集がかかっています。
小田:パラグアイの日系人は日本語もスペイン語もわかるので、この場合はよいまとめ役となるからです。
佐藤:メキシコのケースでは幹部候補として、日本に研修に行くこともあるようで、日本の出稼ぎよりもよいと思います。日本への出稼ぎの場合は、単なる下積みに過ぎない単純労働に使われるケースが多いですから。
豊歳:私もメキシコのケースはいいと思います。日本の場合は当初は3Kといわれる、いわゆる日本人がやりたくない仕事をやらせるだけだったので、私も怒ったのです。
大熊:パラグアイからはどれぐらいの人が出稼ぎに出ているのでしょうか。
合田:1997年では1,466人とあります。
奈良:90年から95年は日系人が少なくなっていくのを感じたましたが、今はあまり感じられなくなりました。
田岡:しかし、ラ・パス移住地ではやはり青年層が減ってきているのが感じられます。

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 ●日系社会の取り組む問題 〜日本語教育について〜

小田:パラグアイ日本人会連合会が力を入れて取り組んでいるのは、日系子弟の教育および福祉です。教育問題は最近特に使命感を感じてます。世代が進んだことで日本語教育が変革期にさしかかっています。
豊歳:パラグアイにおいては、教育全般が一番大きな問題です。これは本来は国の問題ですが、パラグアイは義務教育が整備できていなく、量も質も共にとても低いです。スペイン語教育も含めて教育をUPさせていかなければなりません。充実した私学もありますが、地方には少ないし、月謝も高額です。一方、国立は経費は安いながらもその量が制限され、なかなか入れません。国立はコネ勝負になって日系人は非常に不利です。
 日本語教育については、今パラグアイの二世は高い日本語能力を持っていますが、今後世代が進むと日本語がおろそかになっていく恐れがあります。それは他の国を見ていても明らかです。取材風景2
 日本人は移住当初から教育熱心で、移住地では、日本語を通して教育することが唯一の教育だったぐらいです。おかげで現在も、日本語能力検定試験におけるパラグアイの合格率は非常に高いのです。しかし、これが放っておいてはこのまま続くとも思えないので、先人が奉仕で苦労して作ってきた日本語教育を、環境の変化にしたがって、もっと専門の知識をもって外国語としての日本語教育をすすめていきたいと考えています。現在日本から日本語教育について、国際協力基金・JICAを通して支援・援助をもらっていますが、減る一方なのが現状です。これについては私も日本に抗議に行ったこともあります。
 日系子弟に日本語を教えることは、日本にとっても大きなプラスであることを考えてもらいたいのです。これを日本の国の政策として援助するのは当然、是非やってもらわなくてはいけないことです。道路・橋を作るのも大事ですが、これらを減額しても、日本語教育に関しては、一律カットということでなく、むしろ増やしてもらいたいです。これは、パラグアイの日系人を中心として、パラグアイ全体への支援につながります。現に日本パラグアイ学院の生徒は6割がパラグアイ人です。これはりっぱな国際協力であると思います。パラグアイにおける日本語教育が何を生み出すことができるかを、ぜひご再考ください。
小田:日本語教育は日本から見たら、大きな投資になるはずです。パラグアイにおける日系社会の位置づけは非常に大きいものがあるのですから。
田岡:私たちは日本人の顔をしているのだから、それに恥ずかしくないものを持っていたいという気持ちもあります。
佐藤:日本人の顔をしているのに日本語がわからないと、「なぜわからないのか」と言われる苦労もあります。

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 ●パラグアイへの援助と日系社会

大熊:東京で取材したとき、パラグアイは援助額が非常に大きいが、無駄な使われ方をしているという指摘があると聞いていますが、これについてはどうですか。
田岡:パラグアイは農業を中心としているので、農業機械化センターについて日本が協力しているのですが、いくら協力しても、そのプロジェクトが終わって日本人が帰ってしまうと、そこにある機器などをパラグアイ人が別のところに持っていってしまうことがあるようです。教育面でも同じように、日本の援助が切れると動かなくなるというパターンは非常に多いのです。
 その他にも日本の援助でりっぱな学校を建ててもらうと、その後古くなったときなどに管理で父兄に重い負担がかかります。日本が建てた後、管理費に対するものが出ないからです。これが移住地で起きている問題ですね。
 その他にも、訓練センターに入ると生徒は兵役を免除されるが、一方で校長先生が私財を肥やすために自分の畑で子供たちを働かせるケースもあったと聞いています。
豊歳:我々が要請する教育への援助とは、こういったハード面ではなく、ソフト面での支援です。日本から日本語教育専門家を派遣してもらうことにより、日本の新しい教育のノウハウを現場に取り入れることができます。これからはスペイン語もわかる二世や三世の、長期的な教師養成を進めていきたいと考えています。
田岡:日系社会に対する援助は生かされていると言えると思いますが、国と国との場合は、必ずしも生きているとはいえません。
豊歳:我々から見たら「なんでこんな援助を」というものもありました。それは、政府と政府の話し合いだけですすめ、民間がタッチできないからです。
田岡:援助するときは、現地にいる日系人を利用してもらいたいと思いますね。
豊歳:その方が効率的な持続性のある援助が可能になると思います。ビジネスでも、事情に明るい現地のパートナーなしには、いいビジネスもできません。これは援助も同様です。取材風景3
田岡:通訳として使うだけでなく、現地の視点を生かしてもらいたいと思います。
奈良:林業センター、機械化センターはそのいい例ではないでしょうか。
田岡:それらを作るとき、日本は屋根、梁資材を全て日本からもってきましたが、こちらにもすべてあるものばかりで、非常に無駄と感じました。現在も利用度は低いようです。
豊歳:これに対しては、我々の意見を吸い上げるどころか、存在を認めてもらえていなかったのが大きいと思います。
田岡:これに比べて、日系社会に対する援助は、我々が見張っているので、そういった無駄が排除できています。
豊歳:現在は移住予算もなくなってしまいましたが、教育については「移住のアフターケア」だけでなく、もっと大きな視点で考えてもらいたいのです。私は今KDDIと組んで携帯電話事業を行っていますが、そこでは日系人がたくさん働いています。ここでの日系子弟への日本語教育が、パラグアイへ進出する日系企業の役にも立っているといえると思います。何ごとも土台は教育です。

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 ●経済不安と日系社会 〜アルゼンチンの経済不安をうけて〜

大熊:現在の経済不安とそれが日系社会へ与える影響、アルゼンチンの影響についてなどお聞かせください。
田岡:まず治安関係で影響があります。日系人はパラグアイで言うと中流階級です。移住地では今までは学校や道路などを、共有することにより共存共栄というかたちでうまくいっていましたが、最近は移住地以外のパラグアイ人による強盗が増えています。日系移住地は他の地域より裕福だというねたみを買っているのでしょう。
奈良:治安の悪化はここ2年ぐらいが深刻になってきました。
合田:普通に生活していて、食べられない人間も増えたからでしょう。
奈良:それにも増して、刑法がゆるいのも問題だと思います。
田岡:警察の能力が低く、法律を運用できていないのです。
奈良:司法が悪いですね。小さい犯罪は検事の仕事が増えるのでほったらかしされています。
佐藤:命がけで泥棒を捕まえても、またすぐに釈放されてしまうのですから、捕まえるだけ損という警察もいます。
豊歳:独裁政権時は警察の力は強大でした。しかし民主化により悪いことも民主化されてしまったのです。昔の反動か、警察は今は力がありません。民主化の負の面が出てきていると言えるでしょう。しかし、パラグアイは人口も少なく、民族性としてもまとめることはそう困難ではないと考える。政治がもっとしっかりしてもらいたいと思っているのですが、今は日本も同じかもしれませんね(笑)。
佐藤:最近は日本も悪いから、パラグアイ人にも「日本も同じだねえ」といわれますよ(笑)。

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 ●パラグアイにおける日本語教育の今後

大熊:パラグアイでの日本語学習熱は上がっているのでしょうか。
豊歳:それはこれから我々が作り上げていくものと思っています。
合田:イグアス移住地では、現在日本語学校の半数がパラグアイ人です。最近は勧誘しなくても、集まってくるそうです。あの地区では、日本人と共に日本語を勉強することがステイタスシンボルになっているからです。アスンシオンで子供をアメリカンスクールに入れるのと同じです。
田岡:日本語を学び、将来日本に行って、裕福になりたいという考えもある。パラグアイ人から「出稼ぎに行きたい」という相談を受けることも多い。興味・関心は高いですね。日本で稼いだ額はパラグアイで10倍にも20倍にもなりますから。「日本人とつながりを持っていたい」という気持ちはあります。
大熊:日本語を学んでいるパラグアイ人というのは、どんな層なのでしょうか。
豊歳:中流です。まだ上流階級には及んでいませんね。日本語は英語と違い、使用範囲が限定されますから。実際、日本パラグアイ学院も経営は火の車です。でも、パラグアイ人の父兄は、言葉を覚える以上に、日本の移住の苦労の歴史、そこで培われた勤勉さ、正直さということに魅せられています。日本人と一緒に教育を受けることで、自分の子弟に対しても、そういう効果を期待しているのを感じます。
田岡:日本人と友達づきあいしている家の関心は高い。日本料理に対しても興味がある。
小田:日本語学校にも、生活上のしつけなどを期待されているように感じています。

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